• 「第50話 失われた海を求めて 中編」
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    など

50


公開日:2025年3月26日
最終更新日:2025年3月26日
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目次
心でじり 使使
むのか すのか も────
"暦の大魔術師"ミツエ=キン

タイトル:「第五十話 失われた海を求めて 中編」
掲載号:『good!アフタヌーン』2025年4月号
発売日:2025年3月6日
ページ数:28p
作者近況:「スケジュール組み間違えて
原稿上げて徹夜で歯医者に行く羽目に。」

した

  • 第三章「渉外室のカフナ」開幕
  • カドー自治区族長→イリナス=セイ=テン
    ココパ自治区族長→リリリア=パドリッティア
    ラコタ自治区族長→クラン=ブルゥ
  • 暦の大魔術師→ミツエ=キン
  • シオが新しい司書寮に入り、明日から正式なカフナとなる
  • 久しぶりにシオとセドナが邂逅する
  • 暦の大魔術師の予知
    →シオ・ククオらしきものとセドナ・ビロウっぽい二つ
  • セドナやガガービッツなどの強力な魔術師は
    災害級魔術師ゼネラプタと呼ばれる
イリナス=セイ=テン
カドー自治区族長。「円君」と呼ばれていた。カドー族の宗教の起教では、「転生の環」と呼ばれ、円を描くものは縁起が良いとされるので、そこに関係する呼び名だと思われる。カドー帝国第二代皇帝ジェーン=セイ=テンや現法務室室長ベイス=セイ=テンと同じ「セイ=テン」の名前を持つ
甘漿
甘い飲み物であると思われる。
!? ことより
漿ってまい
かのノをのと
するのいかがなのか
リリリア=パドリッティア
ココパ自治区族長。8巻で傀の大魔術師が既に死亡していることと、その身体をビレイ=ヴァンポイーズが操っていたことを知り、そこで自身もビレイに術をかけられてしまう。今回登場したが、ビレイを呼ぶ場面があり、おそらくその記憶は消されている(?)のだろう。
レレレイアス
ココパ自治区大司都(ペトリポッパ)。「リリリア」と同じくラ行を重ねるタイプの言葉。首府という呼び名ではなかった。別にちゃんと首府が存在するか、主要な都市にココパ族独自の呼び名をつけているのかもしれない。
いッ
じゃ
いの
さこそが
大樹精ケタナント
リリリアに対し主張が大事だと説く人物の言葉にある精霊の名前。ちなみに、シオはイシュトア=セロスを初めて見た際に、「まるで大樹の大精霊ヴォータンのように大きく見えた」と形容している。
クラン=ブルゥ
ラコタ自治区族長。鮮革党第一席。ツインテールの髪にハイレグの露出の多い格好をしている。マナや魔術方面にも長けているのか、接触してきた者の背中に隠れていた人物にも気付き、挑戦的な性格を見せる。「貴公」や「彼奴等(きゃつら)」など、発する一つ一つの言葉がなんだか劇調じみている。格好つけ(?)という意味ではセドナと近いものを感じる。


みらい
ミツエ=キン
暦の大魔術師。シオたちがちょうど司書試験を受けている頃に政界から引退した。これから起きることやそれに関係することを、夢を見ることで断片的に知ることができる能力を持つ。今回のその予知の内容は、「どちらかが大きな決断をした」「遠くない未来に黒馬の使者と聖獣の使者がぶつかり合う」ということであった。
カラ
ラコタ自治区首府。カドー帝国に対して反乱を起こし、将軍アラスターを破ったラコタ族の英雄カラから、作中で命名されたのだと思われる。ラコタ族は色の名前が名字に付くが、英雄カラは英語で「色」の意味である「color」からであろう。同じ「色」を意味する単語には、フランス語の「couleur(クルール)」がある。こちらはアヤが夢見ていた、大天体望遠鏡がある学者の研究所の名称になっている。ちなみにこれもカラにある。

ました


ことがきるしょう
鮮革党の二本指は対星を表す
対星は空に浮かぶ二つの月のこと。アレマナカはこれを元にして作成された。クラン=ブルゥはこのアレマナカの終末論を利用して、次の時代は、ラコタ族の繁栄が再びやって来るとしている。
害級魔術師 ゼネラプタ
強力な魔術師を指すと思われる言葉。クラン=ブルゥは、セドナやガガービッツ、魔術学園の御三家を挙げた。
ゼネラプタ
かえり
しぶりだね
中央圕ホブニル独身寮
「ホブニル」とは、ラコタ族の故郷の地名 今までの見習い司書寮とは違い、シオは先輩と2人部屋。

考察

第三章「渉外室のカフナ」が開幕した。前回のクリーク自治区の人の言葉から、もしかしたら数年飛ぶのではないかと少し考えたが、きちんと最初から描かれるようだ。ついでにいうと、タイトルコールの場所も関係がなかった。

単行本派の人は、章タイトルを知るだけでシオの配属先が分かってしまうので、扱いには気をつけないといけないかもしれない。

今回は見開きが1+3回、計8ページも描かれた。いつもの枠いっぱいのタイトルコールも、第三章では一体何が起こるのだろうかとワクワクさせる。

1ページ目は光マナの図 前回、9巻の幕間は「十二室解説」か…? などと考えたが、実際は「マナ解説」だったようだ。語り手の言葉が入っていたし、11巻の本編1ページ目になる部分だったのだろう。それに、せっかく十二室を解説するのだったら、見習いが配属される11巻などがより適切であるとも考えられる。

3人の自治区族長

カドー自治区族長

族長の名前はイリナス=セイ=テン。

男性っぽい言動だが、普通に男の人だろうか…?胸に膨らみがあるような気もするが、女性ならば意外性を出すために、もっと女性だと分かりやすく描くと思われる…?『圕の大魔術師』では、セドナを始めとして性別に関する部分も一つの個性として表現されていて、キャラクターそれぞれの魅力となっているため、どちらでもおかしくない。

髪の色は、普通のカドー族のように黒髪ではない。影として描かれている可能性もあるが、生え際部分は黒く、染めている等の可能性もある。それと、仮面に目の付近に穴らしきものがないように感じるが、前は見えるのだろうか…?

登場人物の仮面が今までにない感じで面白い。イリナスの仮面は過去のカドー帝国皇帝のものと似ていたりするのかと思い参照したが、ツノの位置ぐらいしか同じ点がなかった。仮面にも流派のようなものがあったりするのだろうか。

ホピ自治区にいたカドー族の使者は、どうやら追い返されたとして、族交は結ばずそのまま帰ってくるようである。報告している人は坊主頭で、イリナスの言動や族長紹介の背景と合わせて日本を感じる。他の族長に比べて暗愚な感じだが、ギャップを出すためにあえて描かれている可能性もある。1ページしか描かれなかったので、再登場が楽しみな人物である。

ココパ自治区族長

族長の名前はリリリア=パドリッティア。

初登場は7巻。特別な存在に生まれたことにより、中心に祭り上げられてしまった境遇をテイと重ねる。8巻で傀の大魔術師が既に死亡していることと、その身体をビレイ=ヴァンポイーズが操っていたことを知り、そこで自身もビレイに術をかけられてしまう。今回登場したが、ビレイを呼ぶ場面があり、おそらくその記憶は消されている(?)のだろう。

ココパ自治区の街並みも少し描かれ、窓の多い建物やうねうねした樹があったり、よく見るアフツァックのものとは異なっていて面白い。

ラコタ自治区族長

族長の名前はクラン=ブルゥ。

初登場は8巻。アレマナカの暦が終わるとき世界が滅びるという終末論を利用し、若年層の票を掴み取り、政界のトップへと駆け上がった。奇抜な格好、耳に残るセリフ、挑戦的な性格など、 おおよそラコタ族のリーダーとして目を引くものばかりである。今回、使者に隠れていたビレイに気付く場面があった。 トギトがアンズたちに気付いたときと同じ理屈だろうか…?

謎としては、名前の後半が「ブルゥ」であることが挙げられる。セドナ=ブルゥとの関係だが、単純に考えれば血縁関係か、「ブルゥ」が一般的な名字である可能性がある。セドナは御三家(エコールノア)のミリーア=ダコ=タンと幼馴染であり、トギトの話にて描かれたエピソードから魔術学園に所属していた可能性が高いと考えられるが、具体的な両親や兄弟姉妹に関することは分かっていない。今後、クランとセドナが邂逅する場面があれば、注目したいところである。

判明した6民族の自治区族長とセラーノ族について

前回と今回で、自治区を持つ民族のうち、6つが族長紹介として描かれた。下記はその族長たちそれぞれに割かれたページの内訳である(自治区の様子が描かれた部分も含める)。

ヒューロン自治区族長→6p
クリーク自治区族長→6p
ホピ自治区族長→2p
カドー自治区族長→1p
ココパ自治区族長→2p
ラコタ自治区族長→7p

まだ後編が残っているが、セラーノ自治区は描かれるのだろうか。もうシオに関する話が始まってしまったので、可能性は低いかもしれない。セラーノ族は灰白色の世界の上を飛び、越えることができるし、明らかに他の人型の民族とは別の軸で生きている。物語の最大の謎の一つであるニガヨモギの使者関係など、大陸に起きた真実も結構知っているようだ。飛ぶことができるということは、気になるのはアトラトナン大陸の外の世界の話だが、いつかそれも描かれる日は来るのだろうか…

甘漿と「マジック:ザ・ギャザリング」

カードゲームの「マジック:ザ・ギャザリング」には 「甘露のイトグモ」というカードがあり、 こちらの中国語(繁体字)版が「甘漿隱士」である。実は泉先生の作品には、 「マジック:ザ・ギャザリング」に関係することが以前から何度も登場している。 泉光先生の読み切り『少女は屋根裏に住む勇者の夢を見るか?』の作中作では、 そのほとんどが「マジック:ザ・ギャザリング」のカードの名称が使われていた。 (「冬の宝珠」、「世界のるつぼ」、「神秘の蛇」など)

そして、「図書館の大魔術師」もカードとして存在するものである。どうやら「大魔術師」のシリーズが存在するらしく、その中には「秩序の大魔術師」や「バザールの大魔術師」というものなどが存在するようである。それぞれ、「理の大魔術師」やカリンの通称「バザルの魔術師」を連想させる。 七大魔術師は現在のところ、5人判明しているが、「鏡の大魔術師」や「天秤の大魔術師」などは残りの大魔術師として登場してもおかしくなさそうな名称をしている

ちなみに英語版は、「Magus of the ◯◯◯」という書式ですべて記述され、本誌第一話から登場している『圕の大魔術師』の英語訳「Magus of the Library」もその形式に則っている。

暦の大魔術師と予知の内容

暦の大魔術師の名前が判明した。「ミツエ=キン」というそうだ。「暦」の大魔術師という名称からは、どのような能力も持つかは不明であったが、今回その力が「予知」に近いものであることも分かった。

読者に分かりやすいように描かれたその予知の内容は、セドナ•ビロウと思われる黒馬の使者とシオ•ククオと思われる聖者の使者がぶつかり合うというものだった。4巻の最後の場面では、「英雄と魔王」や「世界の命運を握る2人」とまで言われ、極めて重要な立場に位置していくことが物語中で示唆されている。これが文字通りの「英雄」と「魔王」なのかは分からないが、ここまで言われていることから、作中屈指の大きなエピソードになることが予想される。ちなみに見開きのイメージ(?)では、シオはティキーカをつけている。

暦の大魔術師のモデルは、『AKIRA』の「キヨコ」というキャラクターだと思われる。見た目、「夢を見た」というセリフ、予知能力まで同じである。それに泉先生は過去に「好きな漫画」に『AKIRA』を挙げている。

ラコタ族は名に日本人の名前、姓に色の名前が付けられることが多いが、「ミツエ」とは、日本では現在、比較的高齢の方に多い名前であり、アヤ•カナなどと世代ごとに違いが見られて面白い。姓は日本語の「金」色からであろう。

セドナとシオと同室の先輩

本編の物語の時間としてシオが久しぶりに登場。「中央圕ホブニル独身寮」がシオのこれからの部屋になるそうだ。廊下には顔の照明。ウイラはずっとシオの頭に乗っていた。何気にセドナとウイラが会うのは初めてである。セドナはカネを見ることはできないが、ウイラのような存在を見て、何か感じたりすることがあるのだろうか…?

もう一人、セドナと会話をしていた者がいる。見るからにいい人そうな雰囲気を放っているが、流れで考えれば、シオと同室の先輩だろうか…?まず異性と同室になることはあり得ないので、男性であることは間違いない。どうやら、会話の内容は小説に関するもので、セドナとは対等に(?)話をしているように思われる。室長の姿や顔は、カフナなら知れ渡っていると思われるし、この人物の性格であるのか、セドナと近しい立場の者なのかは分からないが、とにかくただのカフナではなさそうだ。

最後に、なぜセドナはこの場所にいるのだろうか。4巻の最後のシオとの約束を果たしに来てくれたというのが、一番可能性としてありそうだ。シオの配属される室はさすがにもう知っているだろうか…? どのような会話をするのか楽しみだ。セドナがここにいる理由にはもう一つの可能性としては、「セドナと同室」という場合もあるが…


脚注

補足

  1. ^ ジェーン=セイ=テンは一番始めに「大魔術師」を名乗った人物。
    ここから、民族の長だった者が、
    圕の大魔術師や理の大魔術師と呼ばれるようになった。
  2. ^ 正確には大きな耳たぶを持つタナ系の故郷。
  3. ^ 泉先生のXの「マナと気質の関係」では、
    背景にマナの図が描かれていた。
    今回のものはその光マナとほぼ同じ図であった。
  4. ^ どうやら大魔術師の前の言葉は
    すべて訓読みかつ一文字の漢字が入るので、
    「天秤の大魔術師」は「秤の大魔術師」とかの方がそれっぽい。

出典

  1. ^ 6巻190p セドナとの修行中(?)にアンズたちに気付くトギト

参考文献

世界観 考察 関連情報 その他